夢月亭~下手の横好き~

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小説:朱松骨董品店 『人喰い銀狐』  

hitokuiginnko.jpg

小説ブログ「DOOR」の管理人・limeさんの描かれた絵を元に物語を書く、≪妄想らくがき企画≫に参加させて頂きました!

企画のページはこちら→(妄想らくがき企画)+(scriviamo!参加イラスト) 『狐画』

本当に素敵な絵なのですが、エログロ寄りな話を書いてしまって申し訳ありません(´・ω・`)

☆―――――――――――――――――☆

 朱松骨董品店『人喰い銀狐』    夢月亭清修


 裏の裏は表ではあるまいか――否、裏にも裏が実在せんと言わんばかりの路地裏は、迷い人か野良猫渡す程度の賑わいの、なれども古惚けた骨董品店あり。
 煤けた弁柄格子に、こちらも煤けた木目の看板掛け、読めば薄っすら『朱松骨董品店』と書いてある。
 迷い人あれば皆首を傾げたことだろう。なぜこのような場所に――と。
 とまれその骨董品店、格子の外から内側を垣間見ること叶わないそうな。事実覗こうとした者の言によれば――「いやぁ、闇ばかりだったさ」と。
 その闇の内側を知る者は、これ如何にも曰くありげに口を閉ざすのだ。

 ある日ある所に、当て所ないそぞろ歩きの青年あり。彼は美術の道志す美大生と言う奴で、絵画のモチーフに困り果てていた。
 歩いてはぶつくさ独り言の、何か佳いモノはないだろうかとそればかりで――敢えて歩いたことの無い道ばかりを選んでいたモノだから、うっかり出逢ったが件の骨董屋、朱松骨董品店である。
 絵を描くことばかりに熱心な青年だもの、骨董なんぞとは縁もゆかりも無い彼だったが、それゆえ惹かれたモノと見える。未知にこそ我がモチーフ在りと、彼は店の引き戸を開いたのだった。
「――いらっしゃい…」
 幽かな声は骨のような、腹巻した老翁から――老翁は店内を所狭しと埋め尽くす雑多な品々にハタキを掛け、どうやらこの店の店主であるらしい。
 青年はその背に断りの一言――あの、見せて頂いてもよろしいですか、と。
「――うん」
 青年を振り向きもせずに頷いた。買う気の無い青年には有難い商売気の無さか、それにしたって反応は薄い。
 とまれ何か佳いモチーフは――と、再びぶつくさし始めた青年の目に飛び込んできたもの、それ、女の肌であった。
 野に伏し、一糸纏わぬその姿は躍動さえ覚えずにはいられない野生美――いいや、その雪花石膏のように白い肌が誘うのは青年の確かな劣情であって、野生の情婦などと表現すればしっくり嵌るか――これも否。
 何となれば、それは不思議な魅力を湛えた一枚の絵であった。銀色の髪と尾、そして狐のような耳を持つ艶めかしい女の絵。野生やら情婦やらと表現するのも馬鹿馬鹿しい程、それはただソレとしか言いようの無い存在感が女にはある。
 自然、青年は呟いていた――凄い、生きているみたいだ――と。
 壁に掛けられた女の絵に、青年は吸い寄せられるかに歩み寄る。と、青年と女の目が合った。確かに合った。動くはずのない絵の中の女が、青年の顔を上目遣いに眺め、微笑さえ零したではないか。
 瞬間――青年は一も二も無く店を飛び出していた。その絵に恐怖したからではない。絵の中の女に、心奪われたような気がしたゆえである――。

 その日を境に、青年には眠れぬ夜が続いた。頭の中には件の女のことが犇めいて寝付けず、ようやく寝付けたかと思えば夢にも女、その淫夢とあって不快な寝汗を粒と浮かせて目が覚める。
 女、女、女――狐のような女――一週間も過ぎた頃には人が変わったよう。青年、その双眼の下に隈が三重にもなって、あれほど画家たろうとの心意気に燃えていたのが嘘のよう。今はさながら薬物中毒者か、モチーフのことなど心の片隅にも無いと見える。
 嗚呼そして、そんな眠れぬ夜も二週間を過ぎた頃、彼、やがては苦しみの中で決意する。夜半にあの骨董屋に忍び込んで、あの絵を盗んでしまおう――と。
 いいや、彼の思い描く行為を語れば「盗む」が一等の表現なれど、彼自身にしてみればその意識と言葉は違ったかもしれぬ。

 あの女を抱きに行くのだ――と。

そうだ、青年は夢に見る程、あの女が欲しくて欲しくて堪らなかったのである。

 あくる朝、変わらず店の品々にハタキを掛ける老翁が独り言に曰く。
「まったく……お前はホンに若い男が好きだのぅ、銀狐や……ほどほどにせんと、お前自身が変わっちまうだろうに……」
 見れば絵、満足げに微笑む女の口元に、べっとりと赤い絵の具をぶちまけていた。

                                            ――了


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いやぁ…本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

でもでもっ、この妖狐が脱いじゃってるからしょうがない!しょうがないよ!!笑

しかしながら、絵の描ける人って心の底から尊敬します。

自分には全然絵心無くて……確か小学校4年生くらいの時には「自分に絵は向かないなぁ」とぼんやり考えていたような気がします。

Posted on 2016/02/02 Tue. 00:39 [edit]

category: 小説:読み切りss等

thread: 自作小説 - janre: 小説・文学

tag: 小説 
tb: --   cm: 10

コメント

うわぁ^^

夢月亭清修さん、この旅は妄想らくがき企画に参加してくださって、本当にありがとうございました!
初めて作品を読ませていただくのですが、とても素晴らしかったです!
この趣のある文体にもやられちゃいましたが、読後感がものすごくわたし好みで、ゾクゾクします。
エログロを匂わせるものは大好きで^^(かみんぐあうと)
いいですね、この銀狐。そして何気に、骨董屋の主人の人柄がにじみ出てて、いいですね。
仕方ない子だ……的な目線に愛があって^^

この骨董屋と銀狐のその後の物語を、すごく見たくなってきました!
とても素敵な作品、ありがとうございました。
後ほど、作品をリンクさせてくださいませ。

URL | lime #GCA3nAmE
2016/02/02 08:31 | edit

こんにちは( 'ω')ノ

あらら…このオチはというと…結局食われてしまったのでしょうか??
ある意味食いに行って食われるとは何という…(笑)
絵画では無くてデザインの方ですけど、モチーフというかネタに困るのはよくわかります。
僕はパッケージのデザインやる時にいつもネタが無くて悶絶していて…
この青年みたいに何かに逃避したくなるのはいつもの事です(笑)

しかし…最後の方の女、女、女…というくだりで何故か性欲フルブーストな中高生を連想して笑っちゃいましたよ(  ̄▽ ̄)

URL | いぬふりゃ☆ #-
2016/02/02 12:39 | edit

ラストでぞくっと来ました

お邪魔します。
たおるさんのところですこし前からお名前を見かけておりまして、limeさんの企画に参加されるとのことで、読ませていただきました。

なんと申しますか、時代小説タッチの文章。ブログでこういう感じで書かれる方は珍しいですから、目を引かれました。
この青年、どうなるんだろうかとちょっと怖いような気持ちで読み進めていきましたら。

このラスト、余韻を漂わせていていいですね。
ホラーともいえるこんな短編、好きです。

URL | あかね #-
2016/02/02 13:16 | edit

Re: うわぁ^^

>limeさん
こんばんは!
こちらこそ、素敵な絵で話を書かせていただけたので嬉しいです♪
何かお題があって、そこから文章を書くのは初めてだったのですごく新鮮でした。
またこのような企画がありましたら是非参加したいと思っています(∩´∀`)∩

エログロ、受け入れていただけたようでホッとしました。笑
書く前にたおるさんの作品を読んだのでちょっぴり原田君に影響を受けたような気がしますw

あまり店主に関しては深く考えずにいたのですが、そう言われると妖怪に優しいじぃさんですね。笑
ひょっとして人間じゃなかったりして……Σ( ゚ω゚)

品物を変えれば続編を書けそうな気がしているので、機会があれば書きたいと思っています♪
その時は是非ご報告に上がらせてください☆よろしくお願いします♪

URL | 夢月亭清修 #-
2016/02/02 23:37 | edit

Re: タイトルなし

>いぬふりゃ☆さん
こんばんは!
読了ありがとうございます♪
きっと青年は食いに行って喰われちゃいましたね。笑
どんな喰われ方だったのかは想像にお任せする魂胆です。ww

やっぱり一つのことをやり続けていれば、誰でもスランプというか、いいネタが思いつかない時はありますよね~。

フルブースト。笑
言われてみれば確かに………ww

URL | 夢月亭清修 #-
2016/02/02 23:44 | edit

Re: ラストでぞくっと来ました

>あかねさん
はじめまして!ご訪問、そして読了ありがとうございます♪
ラストの方はちょっとアッサリし過ぎてしまったかな……と思っていたので、そう言ってもらえると救われます\(´ω`●)/

実は以前にたおるさん経由でそちらに伺ったことがあるのですが、ちょうどモモクリちゃんの短編があって読ませていただきました。
とっても可愛い夫婦で癒されたのですが、他の話も読んでからコメントを残した方がいいかと迷って、結局足跡のみとなってしまいました……。
また読みに伺わせていただきます♪

URL | 夢月亭清修 #-
2016/02/02 23:54 | edit

わっわっ!お伺いするのが遅くなってしまいました(>_<)
おお!夢月亭さんが書かれるとこんな感じに!
オカルトシリーズと違った文体で、こんな雰囲気のお話も書けるのですね。いいなぁ私は毎回似たようなお話しかかけないから羨ましいです(´Д` )
そして新しい夢月亭さん発見です(*´ー`*)


これは最後主人公が食べられちゃうってことですか!
主人公が食べる側ではなく食べられちゃう側ってまた面白いですね
あれですね、ミイラ取りがミイラに的な…!
やはり男性は美女の裸体に弱い_φ(・_・めもめも

まあ遊びにきますー٩(ˊᗜˋ*)و

URL | たおる #mQop/nM.
2016/02/03 21:42 | edit

Re: タイトルなし

>たおるさん
ご訪問、そして読了ありがとうございます♪
皆さんとっても楽しそうだったので、羨ましくなって企画に参加しちゃいました。笑

自分の趣味を全開にするとこんな文体になるのですが、実は薄っぺらい話の内容をカモフラージュしているだけかもしれません。笑

まさしくミイラ取りがミイラですね!
でもでも、ひょっとしたらすごくハッピーな死に際だったかもしれませんよ?w

また遊びに来てくださいー(´。・ω・)ノ

URL | 夢月亭清修 #-
2016/02/03 23:16 | edit

お邪魔します。

ううむ、独特の、そしてサキにとって少し古風に感じる文体ですね。でも3行ほど読み進めるとそのまま馴染んでしまえる。そういう印象です。
骨董屋の奥に眠る絵、腹巻した老翁、という設定もおどろおどろしくて素敵です。
そして青年は銀狐に魅入られ、抱きに行ったつもりが食われてしまう。ということですね?
limeさんの絵からはこういう妖狐のイメージも確かに出てきます。
ほどほどにせんと、お前自身が変わっちまうだろうに……老翁の言葉、ちょっと恐いです。

URL | 山西 サキ #0t8Ai07g
2016/02/07 19:57 | edit

Re: お邪魔します。

>山西 サキさん
はじめまして!ご訪問ありがとうございます♪
文体から嫌われることもままあるので、「馴染める」と言ってもらえると非常に嬉しいです(●´∀`●)
青年は銀狐に魅入られ、抱きに行ったつもりが食われてしまいました。
この絵を初めて見たときに、あの伏し目がこっちを向いたらヤバそうだな……と思ったんです。
その結果……「ほどほど」どころかだいぶやり過ぎていますよね。笑
老翁にとっては大したことではないのかもしれません……

URL | 夢月亭清修 #-
2016/02/07 21:01 | edit

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