夢月亭~下手の横好き~

夢月亭清修の小説&バス釣りブログ♪小説の更新情報・小説・釣行記録・その他諸々掲載してます★

小説:釣り一頁ss No.2「釣り場のゴミ」  

小説釣り一頁ss No.2  『 釣り場のゴミ』   夢月亭清修

 僕の幼馴染、Kについて語ろう。
 Kは人の気持ちをまったく考えない男だ。人の気持ちを考えることをストレスに感じるような男だ。人の気持ちを考えるくらいなら魚の気持ちを考えようとする釣り馬鹿だ。
 それだけ聞くと「なんて糞野郎だ」とか、「さぞトラブルの多い男に違いない」と誰しもが思うことだろう。
 しかしその予想に反して、彼は真っ当に、大きなトラブルに見舞われることなく過ごしている(残念ながら小さなトラブルはたまにあるが……)。
 それはなぜか?
 彼にも処世術と言うモノが存在しているからだ。
 彼の処世術は言葉にすれば実に幼稚だが、それを徹底して実践し続けられるのは強い人間だけだと僕は思う。

『自分がされて嫌なことを人にしてはいけません』

 これが彼、Kの処世術。
 なんだ、人の気持ちを考えているじゃないか――誰かはそう言うだろうか? そうかもしれない。でも、僕から見れば全然違う。
 Kには誰かの気持ちを汲み取ろうとの意志や思考が存在しない。あるのはただ、考えずとも理解できる『自分がされて嫌なこと』を、誰かにしないという『ルール』なのだ。
 そのルールを、彼は守って、守り続けて生きている。
 おや? なら一匹釣るごとに御開帳される長ったらしい解説は、どうやら彼にとっては望むところとなってしまうが………うん、きっとそうなのだろう。ブラックバスの話なら何でも望むところの彼なのである。
 ともあれ彼、Kは強い人間だ。
 僕はそう思っている。

 さて、そんな彼の強さは他にもある。今回はそれを紹介するエピソードだ。ある晴れた日に、二人で釣りに出かけた時のこと――。

 春には美しい花を咲かせるであろう桜の木の枝に、釣り糸が絡まっていた。その糸が枝と水面の間でルアーを宙吊りにしている。
「あぁ、あれじゃ取れないね。きっと誰かがミスキャストしちゃったんだ」
 桜の木はなぜだか池の方へとせり出た伸び方をしていて、だから枝は、もうすっかり岸からでは届かない場所だった。
 なかなかに無残な光景ではあるが、僕は諦めるしかないと思った。おそらく、引っ掛けてしまった本人もそうだったのだろう。でも――
「いやいや、あのくらい余裕だろ」
 Kはそう言って車からウェーダ―(胴体まである長靴)を取り出したのだ。それを穿いて、ずぶずぶと池に入って行った。
「おい、本当に平気か? 急に深くなっていたりしないか?」
 僕は心配して声を掛けたが、彼はひらひら手を振って見せただけ。直ぐに枝の先をぐいとひっぱって、釣り糸とルアーはあっと言う間にKの手の中へと収まった。
「すごいな、君が地球に優しいとは思わなかったよ。見直した」
 Kが照れ笑いしながらこちらへと戻ってくる。
「まぁな、こういうゴミが増えて『釣り禁止』になっちまった池も多いんだ。なんとかしなきゃな」
 ああ、なるほどと僕は思った。
 Kは自然を汚すなとか、ゴミが増えたら迷惑する人がいるからとか、そういったことを考えているわけじゃない。
 自分の遊び場を無くしたくないだけなのだ。
 なにせKは『自分がされて嫌なこと』を知り尽くしているから。でも――
 嗚呼、相変わらず強いな、と僕は思ったのだ。「なんとかしなきゃな」を、今直ぐに実践できるのは凄いことだ。とっても、強い。しかし――
「おっ! やばい! このルアー超レアなやつだ!」
 願わくばこの後展開されるであろうルアー談義を、出来る限り短くまとめる優しさが彼にも身に付くことを祈る。

                                    ――了

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不必要な詳細まで言葉にしようとして、無駄に長い文章を書いてしまう癖があるようです。

短く短くと心がけても、それはそれで足りなさ過ぎる気もしてきてしまうので落ち着きません。笑

☆――――――――――☆

Kのように池に入ったりはなかなか出来ませんが、自分も釣りのときはゴミ袋を持ち歩いています。

拾い切れない程大量に不法投棄されている場所もあるので悲しくなりますね。

皆でちょっとずつ頑張れたらいいなと思います。

Posted on 2015/11/22 Sun. 23:58 [edit]

category: 小説:釣り一頁(つり1ページ)ss

thread: 自作小説 - janre: 小説・文学

tag: 釣り  ブラックバス  小説 
tb: --   cm: 2

コメント

こんば(゚Д゚)ノんは。

「己の欲しないところを人に施すなかれ。」
うーむ、孔丘先生の言葉をそのまま実践してるんですね~。実際にそう出来る人が居たら素晴らしいです。
実際なかなか難しいですからねぇ。
他人の気持ちを考えないのはちとアレですが(笑)
この孔丘先生の言葉をキリスト教に置き換えたら確か、自分のして欲しい事を人にしなさい、みたいな感じだった様な。
言ってる内容は同じでも東洋と西洋で言い方が違うのは面白いですね。

それはそうと拾ったルアーがホンマに激レアだったらラッキーですよね~。
自分にもそういう事は起きないかなぁ~。でもネコババしたら拾得物横領罪ですよね(笑)
釣り場で拾うルアーはみんなバッキバキに壊れたものばかりですが(笑)

URL | いぬふりゃ☆ #-
2015/11/23 00:17 | edit

Re: タイトルなし

>いぬふりゃ☆さん
こんばんは!
何だかキリスト教の方は能動的なんですね~(∩゚∀゚)∩
日本人だと「余計なお世話」と言われるのが怖くて、そういう風になれる人って少ないかもしれませね。

僕も激レアなルアーなんて拾ったことないです。
拾ってみたいですね~。笑
そういえば友人が「落ちているルアーはそのポイントのヒットルアーだ!」って言ってましたw
ジンクスだと思うのですが、使ったことが無いので検証できません(´・ω・`)

URL | 柏清修 #-
2015/11/23 23:58 | edit

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