夢月亭~下手の横好き~

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小説:不思議なオカルト研究部 第五話 美也の兄 外伝  

   不思議なオカルト研究部 第五話『美也の兄』 外伝



 直也が運動不足の足腰に鞭打って酔い潰れた石動を運んでいる最中、別の帰路では何とも楽しげに響く女の声――こちらは石動を早々に直也へと押し付け、ハンドバック一つで軽々の――帰宅途中の緑ヶ丘翠だった。
 彼女は携帯電話を耳に当て、遠いような近いような別の地で、勉学に勤しむ幼馴染との長電話の真っ最中。その声の途切れない様から鑑みるに、どうやら近況を捲し立てているらしく、電話の相手はさぞや相槌を挟むのもやっとと言ったところか。
「――でね、美也覚えてる? バスケ部の後輩だった美也。あの子、今一個年下の男の子に送りオオカミされてるの。来週どんな顔して二人が部室に来るのか超楽しみっ! え? やだなぁ、勘ぐらないでよ。私別に煽ったりなんてしないし」
 などと――今ここにいない幼馴染君には随分と良い顔をしたものだ。煽るどころか、そもそも石動に強い酒を勧めた張本人が彼女である。直也の携帯に地図を送った手際の良さも、端からこうなることを見越して用意していたのではと疑いたくなる。
「今年サークルに入った男の子でね、もう最初っからバレバレだったわよ。美也が連れて来たんだけど、一目で分かっちゃった。あ、この子、美也を気に入って付いて来たんだなぁって。美也ったらそういうことに全然興味無さそうなんだけど、いざ迫られたらどうするんだろ――ま、そんな急展開は無さそうなんだけどね。新入部員君も奥手そうだし。ぷふふっ」
 緑ヶ丘は堪えきれないような思い出し笑いをした。奥手なクセに、石動と話せば両頬をほんのり桃色にする直也の顔を思い出したか――解り易過ぎるだろ! と、それは彼女が何度も心の中で突っ込んでいた彼の表情である。
 その顔を向けられる当の本人がこれまた鈍感で、気が付くどころか、直也のいない所で「新入部員君は血行が良さそうっすよねぇ」などと言っているのが彼女にとっては傑作だった。
 緑ヶ丘はそれを幼馴染君に説明し、説明しながら、結局腹を抱えて笑った。
「あー…お腹痛い。まぁそんな二人が夜中に二人っきりなわけ。どうなっちゃうか祐ちゃんも楽しみになってこない?」
 この疑問形にどんな返答があっただろう? ようやく捲し立てるような彼女の声が一時静まった。そして――
「うん、まぁそんな感じで楽しくやってるよ――と私は言いたかったの。え? へへっ、それは祐ちゃんにも内緒よ。それじゃ、うん、またね、はーい」
 通話が終わった。あれだけ一方的に話しておきながら、相手からの唯一の質問に「内緒」を返すとは酷いモノである。でも――

『どうして翠はそのサークルに入ったんだっけ?』

 そう聞かれたら、こればかりはなかなかに答え辛かった。
 大事な兄と、可愛いあの子――二人と再び時間を共にする時には、このサークルでの経験が生きてくるだろう――彼女は漠然とそう感じている。本当に漠然と――選択と行動は直感的なモノで、その想いが胸の内で言葉になることも、今のところ、ない。
 言葉にならないことは「内緒」で誤魔化して、彼女は辿り着いた部屋の扉を開いた。今日は良く眠れそう――毎日が快眠のくせに、彼女はそう思った。
                                    ≪――了≫
☆―――――――――――――――――☆

幻創文庫にて、久しぶりに『不思議なオカルト研究部シリーズ』の更新です!(官能小説じゃないよ!)

こちらは外伝――本編は幻創文庫にて掲載中です^^

今回は読み切りでサクッとした感じ。

よかったら本編の方にも遊びに来てください♪→不思議なオカルト研究部 第五話 美也の兄


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Posted on 2016/06/06 Mon. 20:37 [edit]

category: 小説:不思議なオカルト研究部

thread: 自作小説 - janre: 小説・文学

tag: 小説  オカルト 
tb: --   cm: 5

コメント

今晩は( ´・ω・)ノ

読んでいて…
ふむふむ、それでそれでそれからどした??と思っていたら…
無常にも終わってしまいました。(ノ∀`)
今回はいつになく短いですね(笑)
なんだかお預け食らったような気分になりましたよ!《゚Д゚》

URL | いぬふりゃ☆ #-
2016/06/06 21:51 | edit

追伸…

ブログの方の記載で終わりかと思ってたら…
ちゃんと本編があったのですねっ!(照)
しっかり読ませていただきましたよ~( ̄∀ ̄)

続きが気になりますが…

URL | いぬふりゃ☆ #-
2016/06/06 23:14 | edit

おお!オカルト研究部更新されたのですね( ´∀`)bグッ!
読みに行かないと💨

大分間が開いたから登場人物どうだったっけ(すいません、健忘症なんですm(_ _)m)と思ったんですが、読みながら、そうそう、そうだった。と思い出しました。
(カルマさんはやたらはっきり覚えてます(笑)あとお蕎麦(笑))

そして、直也くん送り狼に!?
んーでも私は手が出せずに終わるに一票(^^)/

このお話読んで、大学の時、両思いの二人を送らせたり、二人きりにしたりしたことを思い出しました(懐かしい
でも決して人にしゃべったりはしてないですかね!
気を利かせたのです( ー`дー´)キリッ

翠さんの内緒はなんだろう??
本編読みに行きますねー(^^)

URL | たおる #-
2016/06/06 23:39 | edit

Re: タイトルなし

>いぬふりゃ☆さん
こんばんは!
本編と外伝、合わせて読んでいただけて感謝です^^
続きは…………
まだ何も考えていないんですよね…w
取り敢えず官能の方を完結に向けてバリバリ書いていこうと思っているので、こちらはのんびり更新になりそうです。
申し訳ない(><;)

URL | 夢月亭清修 #-
2016/06/07 22:46 | edit

Re: タイトルなし

>たおるさん
こんばんは!
だいぶ間が空いてしまったので僕もいろいろ忘れかけていました。
ペースよく更新したいところですが、またしばらく間が空いてしまいそうです。
申し訳ない^^;

カルマはやっぱりインパクト強いみたいですね。笑
喚くか泣くか給仕くらいしかしてませんがwまた登場してもらいたいなぁと思っています^^

そうそう、大学生のお話なので僕も書きながら自分の大学生活を思い出します。
自分の経験からネタになりそうな色々を探すんですが、オカルトに関してはさっぱりです。w

本編もどうぞよろしくお願いします♪

URL | 夢月亭清修 #-
2016/06/07 22:55 | edit

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