夢月亭~下手の横好き~

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小説:不思議なオカルト研究部 第七話 廃屋の人形≪外伝≫  

   小説:不思議なオカルト研究部 第七話 廃屋の人形≪外伝≫


『日記――七月某日(柳田邦彦著)』

 テスト勉強の手を止めてフィールドワークを実施。場所は○○町四丁目にある旧加納家の廃屋。
 久し振りの好天に恵まれたた今日は、どうやら梅雨明けだったらしい。
 現場では霊障を引き起こすに相応しげな童人形を発見するに至った。
 童人形は、現在兄によって浄霊中である。

 この人形の出自については、加納家が父の代の檀家であったことから、早期に曰くの元となりそうな話を聞けた。
 嫁入り道具に日本人形とは古風極まりないが、しかも衣装人形ではなく童人形と云う所が解せない。ひょっとしたら、社長令嬢の実家は人形の祟りを知りながらも、それを婚家に擦り付けようとしたのではないだろうか?
 あくまで推測だが、そんな気がしてならない。

 今日一日を振り返って、久し振りに物騒なフィールドワークだったと思う。兄にも厳しく叱られてしまった。が、俺は活動を止めるつもりは毛ほども無い。兄のようにはなれないだろうが、この家に生まれた者としては、このオカルト研究部の活動が何かしら役に立つ日が来ると信じたい。
 兄へのコンプレックスと正面から向き合うのだと、俺は決めている――。

 閑話休題。
 それにしても、我が部の新入生、山田直也は実に面白い。始めはオカルトと縁遠そうに見えたが、まるで殻を破って羽を広げる蝶の映像を早送りで見ているようだ。
 自分の直感を信じ、感覚でオカルトを理解しようとしているように見える。
 今日のフィールドワークなど、映像を見た時の奴の青ざめた顔が無ければ、今頃どうなっていたか分からない。現場の禍々しさは相当なモノだったから、俺達も障られていた可能性が高いと思う。カルマを呼んでおいて大正解だった。
 直也、あいつには、ひょっとしたら特別な何かがあるのだろうか?

 そう言えばカルマだが、フィールドワークの後で兄と地下室に直行し、浄霊を手伝っている。
 手伝いとは云ってもただそこに座らされているだけだが……一度上がって来た時は「軟禁だ監禁だ」と煩かった。二度目に上がってきた時は「人形が動いた! すげぇぇぇ!」と煩かった。
 早く浄霊が終わって、奴が家に帰ることを切に願う。《了》

本編はこちら→第七話 廃屋の人形 前編/  中編/  後編

シリーズ一覧はこちら→不思議なオカルト研究部


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Posted on 2017/04/06 Thu. 22:22 [edit]

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小説:不思議なオカルト研究部 第六話 迷子霊≪外伝≫  

   小説:不思議なオカルト研究部 第六話 迷子≪外伝≫



 とあるファミリーレストランに迷い込んだ少女の――本来ただ成仏するだけの彼女が、ある日磁力のように引き寄せられたのが感困ったちゃん体質の何某、物語本編には何ら関係を持たない人である。
 その人、少女のをくっ付けたままそのレストランにて飲食し、帰り際に彼女を置き去りにしてしまったことが事の始まりなのであった。
 何故置き去りにしたか? いいや、寄せるくせに気付けないのがこの困ったちゃん何某の特質なのであって、ひょっとしたら、彼の注文したソルティドッグ(塩多め)が、結果として店内で彼女を引き剥がす要因になったのかもしれない……。
 ともあれそうして、そのレストランでは閉店後の丑三つ時、閉店作業に勤しむ従業員によって、度々彼女の存在が目撃されることとなった。
 彼女はそのレストランに存在していた結界によって、店から出れなくなってしまったのだ。
 本来行くべき所があるとは教わらずとも感じていた少女――出れないことへの焦燥が、その姿を多くの人に見せた要因となったのかも――。

 直也が結界を壊した夜、己をその場に縛り付ける何かが無くなったことを感じた少女は、嬉々として店の出口へと駆けた。
 嗚呼、これでここから出ることができる――安堵に綻んだ頬は誰が目撃したでもないけれど、きっと無邪気に喜びを表していたことだろう。そうしていざ扉を潜り抜けんとした、が――
 少女の足が扉を目前にして止まった。
 彼女は扉の向こう側に異様な圧迫感を感じ、綻んだ頬も一転、警戒心に強張った顔で後退る。
 出たくない、いいや、出れない――
 直也は結界を壊したけれど、それは依然として出口を塞いだままだったのだろうか? いいや、そうではなかった――。

 同時刻、閉店し、固く鍵で閉ざした扉の外に立ちんぼしていた人のある――。
 直也から聞きつけた目撃談を、我も体験せんとばかりに張り切ったカルマであった。
 カルマはオカルト研究部のOBなのだが、彼もある意味感困ったちゃんで、その特質は前述の困ったちゃんとまるで逆のモノ。彼はその見掛けとは裏腹に、偉大なる何かに守られている(らしい…)のだ。
 それ故に、彼は極度のオカルト愛好家であるにもかかわらず、怪異と遭遇した体験を一切持ち合わせていない。
 彼を前にしては、一切の怪異が鳴りを潜め道を譲るのである。
 しかしまぁ、それがカルマのオカルト熱に拍車をかけている要因でもあるのだろう。今日もこうして、目撃談あらば自分の店を閉店させてまで訪れて、窓から中を覗くやら扉に耳当てて気配を疑うやらと、不審者極まりない有様であった。
「くっそぅ……良い時間だってのに、ちっとも出やしねぇ…」
 そうぼやくが己の特質を知らないカルマの口。少女にしてみれば、出たくても出れないのである。
 しかし諦め切れない彼は幾度となく中を覗いて耳を当て、不審行為を繰り返していた。すると――
 パチッ――とスイッチの入るような音がカルマの耳に届いた。次の瞬間、彼を光が照らし出した。
 おおっ! 遂に来たか!?
 カルマがそう思ったのも束の間、野太い男の声と手が、彼の肩に降り掛かったのだ。
「君、そこで何してんの?」
 振り向けば青いシャツに無線等忍ばせたベスト、そして見紛う無き旭日章の帽子――。
 彼を照らしたのは、巡査の手に在る懐中電灯であった。
「あ、えっと、その……」
 巡査の職務質問が、少女にとって最後の障壁を取り除いた。≪了≫

本編はこちら→迷子霊 前編  迷子霊 後編


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Posted on 2017/03/05 Sun. 22:07 [edit]

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小説:不思議なオカルト研究部 第五話 美也の兄 外伝  

   不思議なオカルト研究部 第五話『美也の兄』 外伝



 直也が運動不足の足腰に鞭打って酔い潰れた石動を運んでいる最中、別の帰路では何とも楽しげに響く女の声――こちらは石動を早々に直也へと押し付け、ハンドバック一つで軽々の――帰宅途中の緑ヶ丘翠だった。
 彼女は携帯電話を耳に当て、遠いような近いような別の地で、勉学に勤しむ幼馴染との長電話の真っ最中。その声の途切れない様から鑑みるに、どうやら近況を捲し立てているらしく、電話の相手はさぞや相槌を挟むのもやっとと言ったところか。
「――でね、美也覚えてる? バスケ部の後輩だった美也。あの子、今一個年下の男の子に送りオオカミされてるの。来週どんな顔して二人が部室に来るのか超楽しみっ! え? やだなぁ、勘ぐらないでよ。私別に煽ったりなんてしないし」
 などと――今ここにいない幼馴染君には随分と良い顔をしたものだ。煽るどころか、そもそも石動に強い酒を勧めた張本人が彼女である。直也の携帯に地図を送った手際の良さも、端からこうなることを見越して用意していたのではと疑いたくなる。
「今年サークルに入った男の子でね、もう最初っからバレバレだったわよ。美也が連れて来たんだけど、一目で分かっちゃった。あ、この子、美也を気に入って付いて来たんだなぁって。美也ったらそういうことに全然興味無さそうなんだけど、いざ迫られたらどうするんだろ――ま、そんな急展開は無さそうなんだけどね。新入部員君も奥手そうだし。ぷふふっ」
 緑ヶ丘は堪えきれないような思い出し笑いをした。奥手なクセに、石動と話せば両頬をほんのり桃色にする直也の顔を思い出したか――解り易過ぎるだろ! と、それは彼女が何度も心の中で突っ込んでいた彼の表情である。
 その顔を向けられる当の本人がこれまた鈍感で、気が付くどころか、直也のいない所で「新入部員君は血行が良さそうっすよねぇ」などと言っているのが彼女にとっては傑作だった。
 緑ヶ丘はそれを幼馴染君に説明し、説明しながら、結局腹を抱えて笑った。
「あー…お腹痛い。まぁそんな二人が夜中に二人っきりなわけ。どうなっちゃうか祐ちゃんも楽しみになってこない?」
 この疑問形にどんな返答があっただろう? ようやく捲し立てるような彼女の声が一時静まった。そして――
「うん、まぁそんな感じで楽しくやってるよ――と私は言いたかったの。え? へへっ、それは祐ちゃんにも内緒よ。それじゃ、うん、またね、はーい」
 通話が終わった。あれだけ一方的に話しておきながら、相手からの唯一の質問に「内緒」を返すとは酷いモノである。でも――

『どうして翠はそのサークルに入ったんだっけ?』

 そう聞かれたら、こればかりはなかなかに答え辛かった。
 大事な兄と、可愛いあの子――二人と再び時間を共にする時には、このサークルでの経験が生きてくるだろう――彼女は漠然とそう感じている。本当に漠然と――選択と行動は直感的なモノで、その想いが胸の内で言葉になることも、今のところ、ない。
 言葉にならないことは「内緒」で誤魔化して、彼女は辿り着いた部屋の扉を開いた。今日は良く眠れそう――毎日が快眠のくせに、彼女はそう思った。
                                    ≪――了≫
☆―――――――――――――――――☆

幻創文庫にて、久しぶりに『不思議なオカルト研究部シリーズ』の更新です!(官能小説じゃないよ!)

こちらは外伝――本編は幻創文庫にて掲載中です^^

今回は読み切りでサクッとした感じ。

よかったら本編の方にも遊びに来てください♪→不思議なオカルト研究部 第五話 美也の兄


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Posted on 2016/06/06 Mon. 20:37 [edit]

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小説:不思議なオカルト研究部 第四話 抜粋談 外伝  

第四話  抜粋談 外伝     夢月亭清修

『抜粋 石動美也談(昨年の百物語より)』

 今晩は、石動美也っす。私も翠先輩、柳田先輩と同じオカルト研究部に所属しているっす。なんで、私も部室にあるレポートから一つ、紹介するっすね。
 これは、R君という部員が書き残したレポートからっす。

 R君は入院しました――えっと……すいません、何で入院したかは忘れちゃったっす。まぁ、兎に角入院したんすよ。
 で、折角入院したことだし、暇つぶしに看護婦さん達から病院の怖い話を集めようとしたんすね。まったく、オカルト研究部員の悪い癖みたいなモノっすよね~。私だったら、仕事で忙しい看護婦さん達を捕まえて話を聞くなんて、申し訳なく思っちゃいます。
 でもまぁ、R君は人懐っこい人柄だったんすかね? 結構色々な話を集めることに成功したみたい――R君はその全てをレポートに書き留めているっす。
 それをまとめて読んでいると、一つ、不思議なことに気が付くんですよ………ふっふっふ~何が不思議なんだと思うっすか?
 実はっすね、何度も重複して登場する話があるんすよ。語り手はその都度違う看護婦さんなんすけど、内容がほとんど一緒なんすね。一部を除いて――。
 その話の内容はこうっす。夜勤で見回りをしていると、廊下で幽霊に出くわすっす。幽霊は危篤患者のいる病室に入っていって、それっきり。翌朝、その病室の人が亡くなっているそうっす。
 これだけ聞くと良くある話、病院の怪談、死神談としては定番っすよね。でも――
 レポートを読んでいると、毎回登場する幽霊が違うんす。
 ある時はお爺ちゃんの霊。
 ある時はお婆ちゃんの霊。
 ある時はおじさんの、ある時はお姉さんの――。
 毎回違う幽霊が出てくる………でも、話の流れ以外にも共通点があって、それはその全ての幽霊が『病衣』を着ていること。同じ病衣を着ているんす。そう――

 その病院の、病衣を――。

 これとよく似た病院の死神談の定番と言えば、登場する霊は「落武者」であったり「炭鉱夫」であったり、まぁどっちかって言うと時代がかった霊が多い気がするっす。
 でも、この病院の霊はどうにも漠然としているっすよね。お爺ちゃんとかお婆ちゃんとか――時代を感じさせない霊っす。だから私、これを読んで思ったんすよ。
 嗚呼、この死神、交代しているんじゃないかって。
 その病院で亡くなった人が死神役になる。死神役は次に亡くなる方の病室を訪れて、更に次の死神役を言い渡す。
 これの繰り返し――。
 レポートを読んだ私の憶測で申し訳ないっすけど、でも、そもそも死神が「炭鉱夫」とか「落武者」って言うのも考えてみれば妙っす。なんで? って感じ。真っ黒な人影に取り囲まれるって死神談の方がそれっぽい。
 だから私、時代がかった霊の出てくる怪談が真実であるなら、私の憶測もありえるんじゃないかって思ってるっす。
 死神役が巡る病院も、在り得る――。

 はい! これにて六十一話目は終わりっす。あ、この蝋燭を吹き消せばいいんすね? え? 語り方が怖くない? もぅ、先輩厳しいっす。そういうの苦手なんすよ~。

                                      ――了


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Posted on 2015/12/27 Sun. 00:17 [edit]

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小説:不思議なオカルト研究部 第三話 酒場の守り神 外伝  

酒場の守り神 外伝   夢月亭清修


 桃太郎電鉄という有名なテレビゲームを御存じだろうか? ハドソンの看板的なシリーズソフトで、鉄道会社の運営をモチーフにした人生ゲームと言うと解り易いかもしれない。
 プレイヤーはサイコロを振り、出た目の数だけ目的地に近づきながら、「物件」を購入し収益を上げる。最終的な総資産で各プレイヤーの順位が決まるのだが――。
 さて、このゲームの代表的なマスコットと言えば「ボンビー」と呼ばれる貧乏神で、これに憑りつかれると買い集めた資産を勝手に売り払われたり、お小遣いに数百万強請られたり、何かと大変なわけだ。取分け「キングボンビー」なる最大級の貧乏神に憑りつかれると目も当てられない。億が一瞬にして零になる程の破壊的な不運を招き、かの不細工なキャラクターに泣かされたプレイヤーは枚挙にいとまが無いであろう。ゆえに、このボンビーを如何にして避けるか、それがこのゲームの鍵となる。

 桃太郎電鉄――それはカルマにとっても懐かしいゲームの名だ。彼にもあった帰宅部高校生の時代には、暇な夏休みをこのゲームに費やしたと言う思い出がちらほらあって――だがしかし――
 大学を卒業し、運良く酒場のマスターとなった今でも、このゲームのことを思い出すことがあろうとは、「ボンビー」を連想させる存在が近くにいようとは、嗚呼、夢にも思わなかったことだろう。
 店の入り口に設置した防犯カメラの映像にソレが映り込む度に、カルマは初めてキングボンビーに出会った時の衝撃を思い出すのだ。
 ソレ――生まれついてでなければ在り得ない程しなやかな金色の髪。そこに刺さる真っ赤なカチューシャ。そして白い肌、派手な服――。
 そう、某大学の三回生、緑ヶ丘翠の姿だ。
 彼女の来訪を知る度にカルマの背筋は凍りつき、両足は震え、額からは冷や汗が瞬時にして吹き零れる。
「き、キングボンビーが…来た!」
 しかもただ一体のボンビーではない。必ず、その両脇にハリケーンボンビーとミニボンビーを侍らせている。これはゲームの中でも在り得ない恐怖のシチュエーションだ。
 今日は初見の男も一人増えていてる――それもあの女が連れて来たものだから、カルマには新たなボンビーにしか見えない。どう考えても、あの女が連れてくる人間が記念仙人なわけがない。
「や、やばい……ヤバすぎる……」
 カルマは慌ててアイアンメイデンのレプリカの中へと飛び込んだ。
 針の無い鉄の処女の中は凄まじい金属臭がして息が詰まる。が、何振りかまってなどいられるかと言ったところ。収益を増やすためには、貧乏神だけは回避しなければならないのだから――。
 嗚呼しかし、無情にも、処女の扉は一分の後に蹴り開けられてしまうのだった。
 ボンビーを擦り付けることのできるプレイヤーが、ここにはいない。

                 ――了

☆――――――――――――――――――☆

幻創文庫」にて連載中の小説、不思議なオカルト研究部シリーズ三話目の外伝(掌編)になります。

本編はこちら→酒場の守り神 前編

シリーズ一覧はこちら→不思議なオカルト研究部シリーズ

ブログに掲載中の外伝(掌編)まとめ→カテゴリ 小説:不思議なオカルト研究部


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Posted on 2015/12/23 Wed. 20:13 [edit]

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